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大阪高等裁判所 昭和36年(ネ)70号 判決

理由

控訴人山本が被控訴人と被控訴人主張の日その主張の債権を目的としその主張の内容の準消費貸借契約を締結したことは当事者間に争がない。

被控訴人は、控訴人小倉は控訴人山本の前示準消費貸借上の債務全額につき連帯保証した旨主張するので考えるに、(証拠)によると、昭和三二年一月二〇日控訴人山本は前示準消費貸借上の債務の各分割弁済金を手形元金、各弁済期日を満期とした約束手形合計九通を振出すとともに、右債務の確認書(甲第一号証)に署名押印して被控訴人に交付したこと、その際控訴人小倉は、被控訴人から右債務を連帯保証をすることを要請されたが、控訴人山本の財産としては後記のとおり同人の所有に属するものと認められた約二〇万円相当の機械以外に見るべきものがない点を考慮して、右金額以上の保証責任を負担することに不安を感じ、右債務のうち金二〇万円の限度においてのみ連帯保証することに同意し、その趣旨で前記約束手形のうち満期の先に到来する金額各一〇万円の手形二通だけに裏書をし、その他の手形には裏書をしなかつたことが認められる。もつとも、前記甲第一号証の記載により認められる、控訴人小倉が連帯債務者としてこれに記名押印している事実からすると、控訴人小倉は前示準消費貸借上の債務全額につき連帯保証をしたのではないかとの疑を容れる余地がないではないが、(証拠)によると、控訴人小倉は、前記のように二通の約束手形だけに裏書したことにより、控訴人山本の前示の債務のうち自己が連帯保証をした範囲は明確にされていることではあるし、右責任の限度につき被控訴人との話合で了解を得ていて甲第一号証に連帯債務者として記名押印しても、間違の起る恐れはなかろうとの安易な考えから、単に控訴人山本の前示債務のうち金二〇万円についてのみ連帯保証したことを確認する趣旨で、控訴人山本をして右書証に連帯債務者として自己の記名押印させたものであることが認められるから、右甲第一号証の記載は必ずしも前記認定の妨げとなるものでないし、他に前記認定を左右するに足る証拠はない。右認定事実からすると、控訴人小倉は前示準消費貸借上の債務のうちその裏書をした二通の手形の各満期である昭和三二年二月末日及び三月末日を各弁済期日とする各金一〇万円の分割金債務以外には連帯保証責任を負担していないものといわねばならない。

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